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成長のシナリオ

はじめに

平成27年9月期は、経済環境は前期に引き続き景気回復基調の中でのスタートとなり、企業の採用意欲も民間企業の採用見通し調査で新卒・中途ともに増加傾向でした。
しかし、採用環境としては、平成28年卒の新卒採用から採用日程が後ろ倒しになり、企業側、学生側ともにどのように進展するのか予測が付けづらく不透明感が漂う状況となりました。昨年までは、大手企業から動き始め大手の採用のヤマ場が過ぎてから中堅中小企業が採用を活発化するという流れでしたが、新ルールの「採用選考の指針」のしばりが弱いことから、経団連非加盟企業や大量採用する企業そして8月以降の大手企業の選考で内定者を抜かれることを危惧した中堅中小企業が先行して採用選考を行うという昨年とは逆の動きとなりました。結局、8月選考開始は守られず4月以降採用戦線が活発化し大手企業の8月上旬の選考でほぼ終了。学生にとっては、8月1日の選考解禁から10月1日内定解禁までの短い期間で内定を獲得しなければならない負担の大きい就活となりました。このため学生も短期決戦の中でエントリー企業を絞り込む傾向がより強まり大手企業でもエントリー数の減少がみられています。

各種調査でも9月時点での内定状況が80%前後で、大手企業に抜かれた中堅中小企業が10月以降も採用を継続しており、全体としては、日程変更による短期化、集中化の選考により出遅れた学生の就職活動が長期化するという構図は今年も変わりありませんでした。
当社も、10月以降3月までの上期累計では売上が対前年比65.6%と大幅に減少しましたが、4月以降の企業の選考進行に合わせプロダクト商品を中心に売上を順調に伸ばし、下期期間では前年比180.9%と盛り返すことができました。
当初から今年の採用日程変更により上期売上に大きな影響が出ると予想はしておりましたが、お陰様で前半の苦戦をなんとかしのぎ、最終的には平成27年9月期決算でのご報告のように売上は9.8%増、経常利益は5.0%増と増収増益となりました。

現状では中国など新興国市場の成長の鈍化、不安定な欧州経済など国際的には先行き不安の要素があります。国内経済も景気回復の停滞感がありますが、インバウンド効果もあり旅行業、小売業などの業界は業績も好調です。建築業や外食産業など一部業界の慢性的人材不足感などをみると、当社に近い人材関連ビジネスは当面好調で、新卒採用意欲もまだまだ旺盛といえます。
平成29年卒採用については、28年卒と同様の日程で進むとみられていますが、10月以降経団連を中心に現行日程についての振り返りが行われ、見直し議論が起こるのではとの観測もありますが、選考の流れを大幅に変更するような見直しにはならないと予測しております。今後、どのような方向で見直し案が出てくるか慎重に見据えていく必要がありますが、大きな変化に対応できた前期のように、企業側、学生側の動きに先んじてコンサルティング、代理店への営業支援ができるようにしっかり行動してまいります。

こうした当社を取り巻く厳しい経営環境と採用マーケット、ビジネスサイクルの変化の中で、当社を今後とも成長させるための「成長のシナリオ」をご説明させていただきます。
平成27年9月期までの結果を踏まえ、当社の目指す方向性としての「成長のシナリオ」の骨子部分での変更はありません。企業側の新卒採用ニーズは「優秀なコア人材」「グローバル人材」への対応を中心に底堅く推移しております。今後とも、これらのニーズを正確に把握、分析し、その企業に最適な商品をスピーディに提案してまいります。

なお、「グローバル人材のSHL」というグローバルブランドが当社の強みですが、平成25年9月にSHL Group Limited(以下、SHL社)は人事関連の会員制アドバイザリー会社である米国の上場会社Corporate Executive Board Company(以下、CEB社)に統合され、CEB社は引き続きグローバルブランドとして「SHL」を継続展開し当社とのライセンス契約はCEB社に引き継がれております。

これまで以上に一層の経営体質強化を図り、役員・社員が一丸となって業務にあたり、今後とも業績拡大へとまい進していく所存です。 より一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
この「成長のシナリオ」は、現段階での中期的な経営目標であります。

平成27年11月6日
文責 代表取締役 奈良 学

成長のシナリオ 目次

コア事業の新卒テスト市場に戦力集中、中途、転職市場での補完も確実に進展

当社は、これまで、新規学卒者の採用選考における適性テストを主とした人材アセスメント(エクスターナル)サービスを中心に提供をし、このマーケットにおいて高い評価をいただいております。企業側は厳しい経営環境下では採用数を絞り込む傾向にありますが、景気回復基調の中でも、学生への質重視の「適切な人材」「優秀な人材」に対する企業の要求は年々高いものになっております。「入社後にきちんと成果の出せる人材、配属予定の業務に適性のある人材」を求めるニーズはより強くなっており、そのための適切な選考ツールが求められております。

このように新卒採用に対するニーズは底堅く、当面はこのコア事業である市場としても伸びている新卒市場での戦力集中を引き続き展開する方針です。そのためには「商品力のさらなるアップと営業組織の強化、営業効率の改善」が必要です。商品力については既存商品の改善はもちろん新商品の販売開始、開発スピードをアップします。東京、名古屋、大阪の三拠点を軸に各業界の主要企業とのさらなる取引拡大を目指します。平成23年4月に開設した名古屋オフィスも順調に取引先を拡大しております。今後も各種のイベント・セミナーから見込み客を獲得し受注・成約に結び付ける営業手法により、効率化を促進させていきます。効率的な営業活動の促進としてコンサルタントの訪問活動との相乗効果を今後も強化してまいります。また引き続き定期採用で新卒を採用し今後の当社を担う人材として育成指導してまいります。

新卒市場よりいち早く回復し現在活発化している経験者採用市場に対しても代理店のネットワークからの取り込みにより成果が上がってまいりました。全国に展開した代理店チャネルを通じてそうしたニーズに細かく対応してまいります。有力な販売代理店チャネルを通じた顧客の拡大により当社の顧客数は毎年増加しておりますが、平成19年の(株)毎日コミュニケーションズ(現(株)マイナビ)の資本参加により、この拡大に一層勢いが加速していると確信しております。

現在、国内企業でも「グローバル人材」の採用と育成の必要性が大きくクローズアップされています。当面は国内市場、特に新卒採用市場に注力しながら成長戦略をとってまいりますが、世界50ヶ国にわたるグローバルネットワークを持つCEB社(SHL社)は30以上の言語に対応した測定ツール(以下、多言語ツールという)を通じて主要国の先進的企業をはじめ1万社以上のクライアントに対し年間2千500万件のアセスメントを実施しております。国内市場では当社が引き続きグローバル人材採用を支援する体制を維持するとともに、新商品の開発等につきましても両社のもつ研究・開発力を連携してまいる考えです。

平成25年9月にSHL社はCEB社に統合されており、「SHL」は商品ブランド名となっております。

以下の4つの基本戦略を成長シナリオとして継続し今後とも売上、営業利益を伸ばし、さらには大幅に増加させるステップに載せることを当面の目標とします。

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成長シナリオ1 取引社数5,223社達成、今後も拡大、シェア50%獲得を目指す


当社の取引社数は5,223社となりました。これまでも社数を順調に伸ばしてまいりましたが、堅調に推移する新卒市場の中で、毎年10%程度の拡大を目指しております。今期は389社増(8.0%増)となりました。当社の(株)マイナビ、(株)ディスコといった販売代理店(販売委託先を含む)27社は、各社の取引社数を合わせ約1万8千社の納入先を有しております。採用適性テスト市場において当社の「IMAGES」「GAB」等のブランドイメージはトップ商品として強固なものになってきております。引き続き当社販売チャネルを通じ1万8千社の納入先に当社プロダクトを拡販することで新規顧客をさらに拡大していくことは可能だとみております。

景気変動を受けやすい採用市場の中でも新卒採用市場は経験者採用市場、派遣・パートといった臨時雇用市場に比し底堅く推移しております。競合他社との兼ね合いもありますが、新卒採用市場での当社商品の強みを生かしさらなる取引社数の増加で現状3割程度と推計される当社の適性テストのシェアを5割まで上げていきたいと考えております。

また当社の競合他社の有力取引先である大手企業についても、その一部が当社の販売代理店経由で当社の販売見込み客となってきております。従来は当社の人員体制面からフォローしきれない点もありましたが、現在では販売代理店による営業体制ネットワークの充実により、当社コンサルタントの人的資源をこうした有力な販売見込み客に優先して投下できる環境になりつつあり、当社として積極的にアプローチしてまいる方針です。当社の新卒採用人員を今年4月入社も7名規模とし数年後の戦力人員として育てております。

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成長シナリオ2 Web化の推進による利益率のさらなる向上

当社は、創業以来今日まで質問紙法とよばれる心理テストを媒介にした情報処理型サービスを主体に事業展開してまいりました。被検者に対して長い時間の拘束ができない新規学卒者の採用選考においてこの手法は極めて有効であり、結果として当社の売上の大部分は新規学卒者の採用市場に集中してまいりました。また顧客ニーズを先取りする形で他社に先駆け、ブランド力のある適性テストである「IMAGES」「GAB」等の紙テストの主力商品をはじめ、各種のアセスメントツールのWeb化を進め、顧客企業から高い支持をいただいており、Webアセスメントツール売上は平成27年9月期も総売上高比率で67%を超え当社利益増の推進力となっております。(株)マイナビ等の代理店経由で販売する適性テストは中小企業向けは紙ベースが主力ですが、今後は中堅以上の企業に向けてインターネット上のWebテストに切り替えて行く方針です。Webならば仕様変更が容易にでき代理店経由でも大手企業を取り込めると考えており、当社も在庫を持たずにすみ、物流費やデータ入力の手間が削減でき、利益率の向上につながります。前期で当面の目標だった Webアセスメントツールの売上高比率65%を達成しましたが、今後もさらに利益率を向上すべく努力してまいります。

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成長シナリオ3 新たなサービスの提供と新商品開発のスピード化を

すでに市場でブランドイメージを確立しているサービス商品に対してメニュー構成や品質の見直しを通じてユーザー満足度を上げていく改善努力を進め、さらなるシェアアップを図ります。また今後とも顧客企業のニーズにあった新サービスを市場に投入していくとともに、市場にリリースするまでの新商品の開発スピードをアップしてまいります。

平成25年8月には「会場テスト方式」の適性検査「C-GAB」の販売を開始しました。全国各地に受検会場を設け、地方都市や繁忙期の応募受検者の利便性を高めた新サービスですが、販売実績は順調に伸びており今後のさらなる大きな成長が期待できます。

また、平成25年12月に組織特性サーベイ「Solution Wizard」を開発・販売開始、平成26年2月には、創造性の核となる能力である発散的思考力(アイデアを多角的な視点から発散する能力)を測定するためのテストである「創造力テスト」を開発・販売開始しました。

平成27年度は、新卒採用の日程変更への対応を優先しましたが、これからも常に企業ニーズを先取りした市場をリードしていける商品を開発し他社に先駆けて対応できるような体制作りを構築してまいります。

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成長シナリオ4 現有社員向けサービスは顧客を絞り込み、効率営業を

採用選考場面のような社外の人に対するエクスターナルサービスに対し、配属・登用等の人事施策の適正化に関する現有社員に対するインターナルサービスがあります。一時の景気低迷により組織拡大に対応するインターナルサービスに対するニーズは以前と比べ小さくなってきておりますが、逆に顧客企業の管理職層のスリム化要請や選抜された幹部登用等から、インターナルアセスメントを管理職登用試験制度に組み込みたいとするニーズは高まってきております。グローバル企業の「タレントマネジメント」に対する興味度もアップしてきております。従来からこの分野への積極的展開を目指しておりましたが、当面は現状の環境のなかで当社の強みである新卒採用から入った顧客に絞りこんでの営業を継続してまいります。 特に当社直販チームは、Webテストを中心とした選考プロセスコンサルテーションを既存顧客に拡大し、深耕によりコンサルティング売上の増加を図っております。こうした選考プロセス全体の設計の助言と合わせ、顧客企業とりわけ大口顧客に対するインターナルサービスを充実させてまいります。「グループ討議」「プレゼンテーションテスト」など当社の独自性のあるインターナルサービスを中心に積極的に推進してまいる所存であります。

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注:上記文中で使用している数値データは、平成27年9月30日現在の各資料に準拠しております。